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004 \スリランカ人建築家 ジェフリー・バワの自宅は彼の博物館/

執筆者の写真: MAKOTO TADOKOROMAKOTO TADOKORO

こんにちは、MAKOです。『アーユボーワン🙏』 スリランカ🐘の言葉でこんにちはです!


2021年の年始からひょんな出来事からスリランカに移住することになった。

いよいよスリランカと日本の2拠点生活を始めたアーキディレクター「建築を導く人」となり自分でも今後の活動にワクワクしている。

移住の理由の一つとして、スリランカを代表する建築家の”ジェフリー・バワ”の建築を巡りたいという想いがあった。あの世界を代表するアマンリゾーツの創設者エイドリアン・ゼッカ氏に最も影響を与えた方である。


ジェフリー・バワと言えばインフィニティ―プールという、海や水辺を連続して見せる手法のプールを世界で初めて提案したといわれる建築家だ。

いまではリゾートホテルのプールの教科書通りのおきまりのパターンと思われがちだが、なんとその起源はスリランカにあったのだ。



”スリランカ南部、ミリッサにあるバワ設計のVilla Red Cliffsの インフィニティ―プール。海と手前のプールが連続して見える”

導かれて『ナンバー11』

そんな巨匠の自宅兼事務所がコロンボ市内の住宅街にあると聞き、まずはバワへの挨拶と言わんばかりにスリランカに来て早々に尋ねた。

その名も『ナンバー11』


玄関先の床には11番地のサインが

番地の番号を名前にした住宅だ。バワ自身は2003年5月に亡くなっており、現在は内部を見学できるようになっている。



住宅街の細い路地のどん詰まりにある。左手の玄関にフランジパニの木を 植えてアイストップ”eye stop”にもなっているところはなんとも趣がある。


既存の家4件を拡張したりつなげたりして出来上がった家は 迷路のようだ。玄関はちょうど平面図の右下。

事前に予約をしていくと、管理人の方が現れバワの事務所スペースに通された。コロンボ市内の喧騒とした雰囲気と一変してそこには静寂と柔らかな光で包まれていた。小さな丸テーブルはちょうど二人が向き合って座るにはよいサイズ。

バワはあまり自分の設計スタッフを雇わなかったと聞いたことがある。僕自身も設計をする身として、ここでのバワと設計チームの人とのやりとりは何とも濃密で贅沢な時間だったのだろうと想像を膨らませてしまう。



壁画や調度品が並べられたオフィススペース。バワのコレクションである。

管理人は一通り事前の説明を終えると、部屋の奥へと案内を進める。

廊下の突き当りにはフクロウのオブジェがあった。バワの友人で、アーティストのラキ・セナナヤケ氏のデザイン。そこにバワは小さな天窓をしつらえ、柔らかな光でフクロウを生き生きと表現していた。



フクロウの下にはクッションが。バワの愛犬のダルメシアンがそこに座って玄関の方を見張っていたのだとか。


フクロウの位置から玄関方面を見てみる。閉じた空間でありながら、中庭から外光が降り注ぎ外の気配を感じさせてくれる。


イタリアのベネチアンガラスで有名なムラーノ島から取り寄せたと言う、ランプが廊下に彩りを与える。


住宅の2階の一室に案内された。壁一面のアンティーク壁画にさまざまな椅子が不均質だが調和のとれた配置でおかれている。

中にはバワの試作品もあるが、その真ん中にはフィンランドの建築家エーロ・サーリネンのチューリップチェアがぽつんと置かれて、その工業製品的なデザインと年代物の調度品などのある意味ミスマッチのような感覚が時空をゆがませて異様な雰囲気を醸し出している。




取り寄せたというアンティークの中国磁器食器がおかれていたデスクに 腰かけると、まだ海上貿易が主流だったイギリス領となった 1800年代にタイムスリップした感覚に襲われた。

そのとき、ふと管理人がボソッと教えてくれた。

『こちらの部屋は一日1組限定でお泊りいただくことができます。』

え?どういうこと?と思った。


こんなアンティークや名作椅子が並んだ部屋に泊まるとはどういことだと。

キングサイズのベッドが二つある部屋となっており、友人同士でもシェアできるくらいのサイズだ。そんなことはともかく、バワが集めたコレクションの中で眠るというのは、どういう感覚だろうと想像してしまった。

夢の中でバワの声が聞こえてくるのだろうかとワクワクしてしまう。

次は絶対にとまってやろうと一瞬で心に決めた。



最後に階段を上るように案内され。

開放的な屋上にたどり着く。行く先々でバワの凝ったデザインを目にしていく。

清潔感のある明るい屋上庭園である。バワの住宅で使った椅子のモックアップがおかれていて、こちらでものんびりくつろげる。



ミニバーもあり、小規模なパーティーなら余裕で開けてしまうくらい広い。

ここでもバワは気の合う友人やクライアントを連れて、外の空気を吸いながら彼の建築の構想を披露していたのだろうかと想像してしまう。

最後に管理人に、「また来るよ!つぎは泊りにね!」と言い残し、一緒に写真をとって見学を終えた。



管理人のなんとも誇らしげな満面の笑顔である。

今回の「ナンバー11」の見学はGeoffrey Bawa Trustのホームページから申込ができるようだ。ゆっくり1,2時間くらいでまわれるのでコロンボ市内の観光のルートに組み込みたい。



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アーキディレクター MAKO(田所真)

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